深田 上 免田 岡原 須恵

ヨケマン談義11. 昔懐かしふるさとの味

11-9. 田楽(でんがく)

 あさぎり町出身で関西在住の英宣さんから、囲炉裏であぶって食べた田楽(でんがく)が懐かしいという便りをいただいた。筆者も、昔、囲炉裏があったころ、四角に切った豆腐に自家製の味噌を塗り、囲炉裏の灰に刺しあぶって焼いてくれた祖母の記憶がある。 田楽(でんがく)とは、図1に示す如く、豆腐、サトイモ、こんにゃくなどに調味みそをつけて焼いた料理のことで、味噌田楽は、豆腐やこんにゃく、茄子や里芋などを串に刺し、砂糖や味醂を配合し柚子や木の芽などで香りをつけた味噌を塗りつけて、焼いたものである。熊本県では阿蘇地方の郷土料理でもある。

田楽 囲炉裏 物見
図1. 味噌田楽 図2. 囲炉裏端 図3. 田楽法師
囲炉裏端の味噌田楽(でんがく)

 もともと豆腐は日本にはなかったもので、平安時代末期に中国より豆腐が伝来し、長方形に切った豆腐を串刺しにして焼いた料理が、室町時代になると味噌が調味料として使われるようになり、今から500年ぐらい前の永禄年間には焼いた豆腐に味噌をつけた料理が流行した。その「田楽」という名前の由来であるが、白い豆腐を串にさした形が、田植えの時に田の神に豊作を祈願する田楽舞の白い袴(はかま)をはき一本足の竹馬に乗って踊る田楽法師(図3)に似ているため「田楽」の名になったということである。

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